さて、ここまでハングルの文字そのものについて学習してきました。いよいよ、ここからハングルで実際に簡単な文章を作っていきたいと思います。
ハングル正書法
ハングル正書法(한글 맞춤법)とは、1933年に朝鮮語学会によって作られた朝鮮語綴字法統一案(한글 맞춤법 통일안)を改訂して1988年1月19日に制定された大韓民国における現行の朝鮮語の正書法です。ここに、ハングルを表記する決まりが記されています。
※北朝鮮にはこれに相当するものとして朝鮮語規範集(조선말규범집)というものがあります。
ハングルの「分かち書き」
ハングルは日本語の「ひらがな」や「かたかな」に相当するものだと前に説明しましたが、日本語でも「ひらがな」だけで記述した場合、文節と文節の間に句読点を打つ等しないと読みづらいですよね?。たとえば「みんなはしっている」と続けて書いてしまうと「みんな、走っている」なのか「みんなは、知っている」なのかわかりません。ハングルでも同様に文節間にスペースを空けたり(分かち書き、といいます)句読点を打つことで「判読の容易さ」「誤読の回避」をします。
- 分かち書き (例文の ˽ がスペースを表します)
- 文の各単語は分かち書きすることを原則とし、体言語尾(助詞)がある場合はそれをつづけて書きます
(例)저는˽학생입니다. =저(私)는(は) 학생(学生)입니다(です). - 基本的に分かち書きすべきものであるが、続け書きが許容されているもの
(1) 数詞+順序を表す助数詞の場合 2時は「두˽시」だが「두시」と続けて書いて良い
(2) アラビア数字+助数詞の場合 5メートルは「5˽미터」だが「5미터」と続けて書いて良い
(3) 補助用言 お助けするは「도와˽드리다」だが「도와드리다」と続けて書いて良い
(4) 固有名詞 大韓中学校は「대한˽중학교」だが「대한중학교」 と続けて書いて良い - 続け書きすることになっているもの
(1) 数詞 123,456,789(1億2,345万6,789)は 「1억˽2345만˽6789」
(2) 朝鮮人の姓名 ペ・ヨンジュン(裵勇浚)は 「배용준」のように姓名の間を分けません。ただし、姓名を分けずに記述した場合に、どこまでが姓でどこから名かがわからなくなってしまう場合には姓名の間を分けて記述します
- 文の各単語は分かち書きすることを原則とし、体言語尾(助詞)がある場合はそれをつづけて書きます
- 句読点
- 横書きの場合には「,(コンマ:日本語の、に相当)」、「.(ピリオド:日本語の。に相当)」を用います
- 縦書きの場合には日本語と同じ「、。」を用います
韓国語(ハングル)の語順
韓国語(ハングル)は漢字語が半分以上を占めるため日本人にとって学習しやすい、ということを前に説明しましたが、もう1つ日本人が韓国語(ハングル)を学習(習得)しやすい理由がもう1つあります。
それは、「日本語と同じ語順」であるからです。
例えば、先ほどの分かち書きのところに出てきた「私は、学生です。」という簡単な文章を比較してみましょう。
言語 | 文章 | 構成(語順) |
---|---|---|
日本語 | 私は、学生です。 | S(主語:私は) + C(補語:学生)+ V(動詞:です) |
韓国語 | 저는 학생입니다. | S(主語:저는) + C(補語:학생)+ V(動詞:입니다) |
英語 | I am a student. | S(主語:I) + V(動詞:am) + C(補語:a student) |
Sだの Vだの Cだの・・・なんか高校時代の英語のグラマーの授業を思い起こしますが、、、まぁ、そんなことはさておき、英語ではCとVがひっくり返っています。韓国語はこのような語順の変化が無いため、日本語を韓国語に訳す場合、日本語の各単語をそのまま韓国語に訳して順番通りにつなげればよいのです。
もう1つ例を見てみましょう。
「私は、彼女にプレゼントをあげました。」という文章は「私は、プレゼントを彼女にあげました。」と語順をひっくり返しても問題なく意味が通じますよね。これは韓国語でも同じで、
私は、彼女にプレゼントをあげました。 → 「저는, 그녀에게 선물을 주었습니다. 」
私は、プレゼントを彼女にあげました。 → 「저는, 선물을 그녀에게 주었습니다. 」
のようにひっくり返すことが出来ます。
韓国語(ハングル)の語幹
まず、「語幹」の説明をする前に、理解しやすいように日本語の形容詞や動詞を見てみましょう。
例えば、形容詞「長い」「多い」はその言葉で辞書にも掲載されている「基本形」ですが、それを変化させた「長く」「多く」といった基本形を変化させた言葉は辞書にありません。動詞でも「歩く」という基本形は辞書に乗っていますが「歩きたい」「歩かない」といった基本形を変化させたものは辞書に乗っていません。「長」「多」「歩」という変わらない部分(=語幹)に活用に応じた語尾「く」「きたい」「かない」といった語尾・接尾辞がついています。
では、ハングルを見てみましょう。ハングルにおける動詞や形容詞の基本形(辞書に乗っている形)は「~다」のように、すべて「다」で終わっています。「다」は「長く」「多く」「歩く」で言うところの「く」の部分です。基本形からこの「다」を取り除いた部分が語幹です。つまり、ハングルも日本語と同じように「語幹+活用語尾」の形にすることで、様々な言い回しができるようになります。
日本語 5段活用 | 韓国語(ハングル) 赤字が「語幹」、それに続く黒字が「活用語尾」 |
---|---|
歩かない | 걷지 않는다 |
歩きたい | 걷고 싶다 |
歩く (基本形) | 걷다 (基本形=辞書に乗っている形) |
歩けば | 걸으면 ※ 걷→걸 |
歩こう | 걷자 |